北海道 ツーリングレポート 1997 夏
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(第 9 話) 北太平洋シーサイドライン
- 8/1 (金) 曇り
朝起きると雨は上がっていた。
晴れ間こそ見えないがまずはラッキーだ。飯を炊き夕べの残りを片づける。
同じく軒下にテントを張ったチャリダー2人組も食事の準備を始めるが、
どうやら金がないらしく、ほとんど米と味噌汁のみといった悲惨な状態。
あまりにもおいらの学生時代の印象が重なって、
思わず「今日でキャンプも終わりなんで、これ余っちゃったから食べなよ」と
半分みやげ用として買った瓶詰め鮭フレークをあげてしまった。
山口大チャリ部の爽やかボウズ頭の2人さん、ちょっとは食事の足しにはなったかな?
とりあえず展望台まで登って写真を撮る。
今日のルートを考えつつ、地図をめくっていると、爪が伸びているのに気付いた。
荷物の中を探すがどうやら爪切りは忘れたらしい。
しかし、一度気がついてしまうと気になって仕方がない。
無性に爪が切りたい !! 切りたいぞぉ。
摩周駅の付近に早朝から開いているコンビニでもないかと寄ってみるが
見つからず (;o;)
外人さんのグループが歩道橋の下で野宿しているのを発見し声を掛けてみる。
全員アメリカ人だそうで、ここには摩周湖を見に来たとのこと。
しかし、テントもなしに昨夜の雨に祟られてひどい状態。
「湖を見るのならば今日の方が昨日よりは天気が良くなるさ。悪くないよ」と
慰めると笑っていた。Miserable なバックパッカーに幸あれ。
国道を行っても面白くないので、道道 53 を南下。
中久著呂からさらに 1052 に入り、コッタロ湿原に寄ってみる。
規模的にはそれほど大きくはないのだろうが、時折通る五月蝿い四駆を除けば
静かでとてもいいところだ。
トンボが飛び回り、遠くに丹頂らしき白いものもちらっと見えた。
塘路湖へ抜ける道は工事中で通れず。
けっこう縦横無尽に張り巡らされた道を野生の勘で走ったところ、
鶴居村の南端あたりに出た。
この時点で、「釧路市街を迂回して根室方面に抜けよう」とゆうもくろみは
もろくも崩れてしまうが、まぁいっか。
ここでコンビニを発見!爪切り買うぜ〜
…と勇ましく乗り込んだものの、ちょうど売り切れでショック
再度、気を取り直し、今回の最後の宿「カジカの宿」へ予約の電話を入れる。
左手に広がる釧路湿原を眺めながら南下。有料展望台はもちろんパス
R38 に合流し、増加した車の流れと一緒に釧路市内へ。
しかし、いきなり迷ってしまう。もう何度も釧路は通っているのに、
いまだに街の構造が理解できていないようだ。
和商へ寄ろうかとも思ったが、どうせ明日も通るのでパス。
せめて根室へは通ったことのない海岸沿いの道を通ろうと思い、春採湖方面を目指す。
しかし、ここでも再び迷ってしまい、現在位置さえわからなくなってしまう。
おかしい。方向感覚だけは自信があったのに、歳のせいかしら…
落ち着くためにサンクスに入り、まずは念願の爪切り! あ〜すっきりしたぁ (^-^)
店の人に道を聞いてなんとか位置も把握。
だいぶ時間をロスした。11時近い。ちょっと早いが飯にしよう。
幸いなことに竹老園は一発で見つけることができた。
まだ早い時間だが、駐車場は埋まり始めていた。
「蘭切り」と「かしわ抜き」を平らげ幸せになる。
量的には若干物足りないけど、めちゃ美味いぜ♪
ちょっと涼しいから、かしわ抜きの熱さがもぉ最高!
蘭切りは初めて食べたけど、どっちかとゆうと普通の蕎麦の方が好みかも。
昆布森にて給油。
まわりに民家がなくなり、森の中のワインディングという雰囲気に変わる。
Bronco は絶好調。ン10km/h で軽々とコーナーをクリア。
バンクしすぎてサイドバッグが擦りそうだ。
路面も良くて、ついついアクセルも開け気味イケイケ走りになってしまう。
海岸に近いところを走るのだが、海自体はなかなか見えず、
尻羽岬の手前でようやくご対面。
どっかの CM にでも出てきそうなイイ雰囲気で、思わずアクセルを緩め
休憩モードに入ってしまった。霧じゃなくてラッキーだろう。
遠く、ローソク岩らしきものも見える。
この場所は、かなり気に入ってしまった。
かの落石岬よりも訪れる人が少ない :-) と言われる尻羽岬へ向かう。
深ジャリのダートを抜け駐車場まで行くと、驚いたことにテントを張ってる人がいた。
岬の先端まで、てくてく歩いて約 20分。
さすがに人はいない。ただ冷たい風が吹き抜ける。
厚岸湾を挟んで大黒島がよく見える。

岬では 30分ほどゆっくりしただろうか。
そろそろ行こうと思って、帰りはじめると、なにやら警告のような鳴き声がする。
目を凝らすと鹿の群れがいた。いつのまに…
とっさに QV-10A と首に下げていたタンクローをマニュアル合体させて写真を撮ったら
なんとかうまく撮れた。
おぉぉ、これは使えるかも。
もう少し戻ると、なにやらプロっぽい(変な意味ではない)雰囲気の女性が
横道に逸れて崖の方へ近づいていくのが見えた。
なにがあるのだろう?と思って後をついていくと、見晴らしのいい場所に
もう一人が陣取っていて、海面をじっと観察している。
傍らには本格的なフィールドスコープ。
8倍のタンクローで覗くと 5頭ほどのアザラシが波間に泳いでいた。
どうやら食事中らしい。
# 再び QV と合体させて撮ったのが右の写真だが、見えるだろうか…
駐車場でキャンプしていた人たちは、この観察のためだったのだ。
おいら自身は NZ で野生の Seal を至近距離で飽きるぐらい見ているので、
それほどの感動はなかったが、
それでも野生動物を見るのはエキサイティングな経験だ。
願わくば、ずっと静かなままの岬であって欲しい。
つづく
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