北海道 ツーリングレポート 2000 夏

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第 11 話 : 陸の上から


8/19 (土) 晴れ

目が覚めるとすでに日は昇っていた。
連続6日間もフネに乗ってしまったので今日はやめようということになっていたのだが、
恨めしい程のいい天気である。

ここまで割と貪欲に行動してきたので、このへんでだらだらするのも良いだろう。
とは言え、ビンボー症の我々、ただ湖畔のキャンプ場に居たのでは再度フネを組み立てかねない。
「海産物が喰いたい」とブリアンがのたまうので、ドライブがてら出かけてみることにした。
ここで、レンタカーのカルディナが初めてディーゼルだということに気付く。
すでに 700km 以上無給油で走っていて、やけに燃費のいいクルマだなとは思っていたのだが < 早く気付よ

キャンプ場の入り口近くにガーガーと大イビキをたてているテントがあった。
傍らには川崎ナンバーのオフロードバイク。この持ち主と思われるが、尋常な音量じゃなかった。
近くを通る人が必ずいぶかしげに振り返る。
何かの病気?眠り病?起こすのも悪いので何もしなかったが…

細岡のカヌーポート横

とりあえず、近場の細岡へ。カヤックで下ってきても数時間のトコロだ。
カヌーポートには釣り人が居るぐらいで、フネの姿はまだない。
今日の釧路川下りは暑くてたいへんかもしれないなぁ。
それにしてもイイ天気。フネに乗らない決心をしたのがちと悔やまれる。

次いで、細岡の展望台へ。
観光客が動き始める時間になってしまったので、人が増えてきた。
下手な団体に巻き込まれたら気分台無しになってしまうので早々に去る。

岩保木展望台

しばしダートを走って、岩保木展望台へ。
以前訪れた時は歩くのがやっとの狭い道だったが、
どうも四駆が入るようになってしまったようだ。轍がけっこう目に付く。
一番下から歩いてみるがアブが異常に多い。3人で踊りながら先を目指す。

展望ポイントについてもアブだらけ。それほど刺されはしないものの、
背中や足に50匹もべったりくっつかれるのは気分のいいものではない。
急いで引き返す。クルマにも何匹か入ってしまったので、追い出しながら進む。

殺風景な岩保木水門を見学した後に、国道へ出て厚岸に向かう。牡蠣を喰おうという魂胆だ。
少し渋滞気味で4輪で走る国道はつまらない。バイクが羨ましい。
やはり北海道は屋根のない乗り物に限る。

コンキリエの「炙り屋」にて

厚岸到着。芸もなく道の駅コンキリエへ入る。
事前になにも調べてこなかったので「炙り屋」ぐらいしかアテがなかったのだ。
すでに昼飯時になっていたが、待たずに入れたので良かった。
しかしながら、ここの牡蠣は安くて美味いと思う。ここぞとばかりに喰いまくる我々。

腹を満たしたら、ミニ水族館を見た後で厚岸湾を見下ろす芝生で寝っころがるのが
正しいコンキリエの使用法だろう。
太平洋の風が少し冷たかったが、最高にキモチが良かった。

どうせなら、全然人のいないトコロへ行こうと尻羽岬へ向かってみる。
しかし地図を持っていない我々、岬の入り口をあっけなく見落とし、賤夫向まで来てしまう。
太平洋が眺められる駐車場にクルマを入れ、午後の読書|昼寝タイムとした。
このあたりの道は交通量も少なくて、かなり静かで良いのだ。
3時間ぐらいはいただろうか。日が西に傾いてきた。

釧路へ移動。MOOで土産を物色した後に銭湯で汗を流す。
風呂上がりの脱衣所で、地元のおっちゃんと一緒に高校野球なぞを観るのもいとおかし。
柳川と智弁が熱戦を繰り広げていてなかなか終わらない。

夕食は東釧路の甚兵衛へ。おっちゃんとおばちゃんがまだ顔を覚えていてくれた。
お盆休みでネタが少なかったのが残念だったが、思い残すことなく海の幸を満喫。
帰りがけにバナナをもらってしまった。どうもありがとう。

寝場所のアテがないため、本日も塘路湖キャンプ場に夜遅く入る。
土曜の夜ということで少し心配だったが、混み具合は昨日と変わらなかった。


8/20 (日) 晴れ

夜には気付かなかったが、昨日のイビキマンがまだ居た!
昨日と同じ場所。デジャブのようだ。もしかしたら何日も寝続けているのだろうか??
早朝からずっと響きわたる豪快なイビキは我々が出発するまで止むことはなかった。

朝飯と土産の最終調達をかねて再び釧路の MOO へ。
飛行機の時間もあるので軽く済まそうと思ってイクラ丼とラーメンセットを頼んだのだが、
ラーメンの量がどう見ても2人前以上ある。大汗かいて喰っても喰っても終わらない。
いかん、宅急便でフネを送らねばならないのに時間ばかり過ぎる。不本意ながら残してしまった。
教訓:MOO の食堂のセットメニューは体調万全+時間のある時に望むべし

例によって道に少々迷ったあげく(釧路の裏道はいまだに理解できない)
なんとかクロネコヤマトに荷物を無事に引き渡し、空港に一直線。夏真っ盛りの北海道を後にした。
陸海空湖川を完全制覇(笑)した旅であった。


P.S.
ここまで大っぴらに書いてきてなんなのだが、実は 知床岬周辺は立ち入り禁止区域である。
自然公園法でいう「特別保護地域」(この場合、罰則有り)かどうかはわからないのだが、
自然保護のため、一般人の立ち入りは自粛しようという動きである。

しかしながら、我々も目撃したように、観光客を船で運び上陸させる業者も存在し、
地元でも岬の「利用」方法として、今後は規制を緩めるかどうかの議論がなされているそうだ。
「利用」や「保護」という言葉には人間の自然に対するエゴが見えていてイヤなのだが、
それすらも理解できない馬鹿も世の中には多い。無条件には緩和はできない相談だ。

我々は当然ながらゴミは全て持ち帰っているし、草花も踏まないように気をつけた。
それでも、もし数百人単位の人間が一夏に行動したら、仮に一人一人のマナーが完璧だとしても
インパクトは少なくは済まないと思う。

知床岬に限らず、どの山だって海だって都会だって人間が好き勝手やっていいものではないと思うが、
残された数少ない手つかずの地域の保護は優先されるべきだろう。
今後、どうすればいいのか注意深く考えていきたい。

おわり


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