北海道 ツーリングレポート 2000 夏

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第 2 話 : 出航


8/13 (日) 晴れ

朝4時。日の出とほぼ同時に目覚める。
気温17度。空気が冷たくてキモチいい。
俗世間の時間を気にすることなく、 自主的なサマータイム制をとれるキャンプ生活は素晴らしい。
グランドの向こうから昇る朝日を眺める人もけっこう居る。

簡素な朝食を摂ったのちに早速行動開始!
テントの朝露を乾かすヒマも惜しんで撤収。
なんとブリアンはシュラフに入らないで寝たそうな。なんかヤバそう…

カルディナを飛ばして、まずは標津へ向かう。
ラジオの天気予報では台風はまだ関東付近を伺っている模様。
セイコーマートで昨日買い忘れた電池や写ルンです(予備カメラ)等を買い込む。
転覆隊 を敬愛する我々は悪書を買うのも忘れない。

ついに海が見えた。空は快晴で海はベタ凪!でゆらゆらと光っている。
なんとツイているのだろう!風もほとんどない。スロットルを踏む足にチカラが入る。
しかし、道端のクルマに跳ねられたらしき鹿の死骸を見て、少し慎重に走った。

羅臼の街を抜けて、いよいよ知床へ。以前来た時よりも道が広くなったようだ。
あっと言うまに相泊に到着。まだ朝8時前。予定通りである。
この時間でも釣りをしている人が多い。どうやら鮭を狙っているようだ。
港の端っこに邪魔にならないようにクルマを停めて準備に入る。

組立風景・後ろに「熊の穴」が見える

さっそく、各自フネを組み立てる。
気温が上がってきて、かなり暑い。

早く出たくてウズウズしてしまうが、慎重に装備を積まねばならない。
確認しながら荷物を仕分ける。
少々の不備はあったが、致命的な忘れ物はないようだ。
万が一に備えて食料や燃料は各挺に分散させる。
3挺ともほぼ満載状態になった。

途中、地元ナンバーのカヤッカーがやってきた。使い込んだシーカヤックがカッコいい。
ソロで岬まで往復すると言う。彼が出航する直前に情報を教えてもらった。
曰く、「ルシャおろしって知ってますか?」「朝9時までに通った方がいいですよ」
「最悪の場合、足が着くぐらいのギリギリの陸沿いを漕ぐこと」
「ルシャ谷には熊が住み着いてるので絶対キャンプしちゃダメですよ」 etc.
事前にもキャッチしていた情報だが、現地で聞くとものすごいリアリティーがある。

通りかかった熊の穴(相泊の食堂、熊やトド料理で一部に有名)のおやぢさんからも貴重な情報が。
「昨日は大風が吹いて、岬方向から来たカヤッカーが転覆して、体力消耗してヘロヘロだった。」
「もしなんかあったら、文吉湾には船舶電話の公衆電話があるから100円玉用意しとけよ」 etc.
さらに、漁師さんからも風向きによる注意や、キャンプ適地の情報をもらう。

…出発直前にビビりまくる我々であった。
が、「行くな」という人は誰もいない。ここから先は死のうが何しようが自己責任の世界だ。
それがわかっているので、的確なアドバイスをくれるのだ。嬉しかった。

出航前・記念写真

どうもブリアンの体調が完全ではないし、まずは様子見ということで
今日の目標を舟泊手前のモイレウシ川河口の湾までとする。
直線距離では 10km もない。海が穏やかならば問題はなかろう。
熊の穴が営業開始したので、早めの昼飯に。
トド焼き定食や昆布ラーメンなぞをいそいそと堪能した。

11時過ぎ、ウエットスーツを着込み、すべての準備が完了。
やっとフネを海に浮かべる。嬉しい!!



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